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Channel: 歴史エッセイ集「今昔玉手箱」
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人生は牢獄だ

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キリスト教に支配されたヨーロッパは、500年の暗黒時代
を経て、対イスラム教十字軍の時代+カタリ派・ユダヤ人弾圧
の時代、異端審問拷問の時代、宗教改革抗争の時代、魔女狩り
の時代と続く。どの時代に生まれたとしても、罪悪感の教義
を刷り込まれ、違反すると地獄に堕ちると脅され、罰の恐怖
に脅えながら祈らされ、許しを乞う精神状態が一生続く。

「ヨーロッパ社会の本質は、恐怖と憎しみの上に成り立って
 いる社会だ」とはシュタイナーの言葉。憎悪・怒り・偏見
批判・嫉妬・羨望・貪欲は、恐怖心が姿形を変えた感情。
キリスト教の特徴と一致してるでしょ。しかも恐怖心や罪悪感
には麻薬同様の耽溺性があるという。哀れな私=犠牲者の
精神性が、犠牲者の現実を作り出すわけだ。

さらに地上世界は強欲な教会に支配され、生産物を搾取され、
看守役の司教が性欲禁止、学問禁止、踊り(娯楽)禁止と
生活の楽しみを全て禁止してしまう。たいていの人間は鬱々
とした生活を続けながら「地上世界は苦痛に満ちた牢獄だ」
と結論づける。そのイメージ的結論を潜在意識に刻んだまま
次の世に転生する。

次の世はまず「人生は牢獄だ」という信念を強化する「家庭」
を選ぶ事になる。最初の支配者=看守役は両親である。
おそらく両親は生まれてきた子を溺愛しただろう。熱心に
食事や排泄の世話を焼いた。その行為を子供は「支配されている」
と受け止める。その子は自己表現を他者から盗まれないように
内に閉じ込めたまま成長する。

このタイプの人々の最も厄介な性質は、牢獄が苦しいので他者
から脱出方法を聞く。しかしアドバイスを求めながら、どんな
アドバイスも間違っていて役に立たないと主張する事にある。
いくら牢獄からの脱出法を示しても、自ら却下して牢獄内に
閉じこもってしまい、ほらやはり人生は牢獄なのだという
無意識の信念をより強固にしてしまうのだ。つまりはこうした
人々に支えられて、独裁的宗教が延命しているという、悪循環の
構図があるんだけどね。究極の奴隷制とは、自身が家畜(奴隷)
だと気づかせないシステムの事なんだけどなぁ。

心理防衛構造という言葉。何を防衛しているのか? と考えた
ことありますか? 言うまでもなく「自己の無垢なエッセンス
=魂」だよね。
「支配され恥かしい思いをさせられ、自己のエッセンスを盗まれ
ることを恐れる結果、このタイプは肉体の奥深くに逃げ込み、
肉体をぶ厚い要塞として、自分を支配しようとする侵入者を
入れないようにする。さらに自分の内にあるものを外に出さない。
どうせ盗まれるか、自分を辱めるために使われるのだから、
内側に閉じ込めておこうとする(癒しの光~マゾキスト防衛構造)

「私は前世で罪を犯したから、こういう現世なんだわ。カルマ
を解消しなければ・・」という考え方も、根本に罪悪感への
囚われがある。その思い込み(観念)がカルマなんだよ。
業=思(思考・観念)と大日経にある通り。それを取り除けば
輪廻から脱するって事ね。

余談ながら、シュタイナーは精神の2大潮流として北方型と
南方型があると述べている。北方とはスカンジナビア辺りを
源流とするゲルマン系アングロサクソン族、フランク族、ゴート族
ヴァンダル族などだろう。キリスト教を奉じて西洋文化を形成
した種族だ。内省的というと聞こえはいいけど、南方系から
見るとすごーく陰気臭い。南方系は言霊文化を奉じる東洋系
種族ね。


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