マグダラとはイスラエル・ガリラヤ湖畔10の町の中で、最古に
して最大の町だった。ガリラヤ湖畔は美しい花々が咲き乱れて
いた為、「ゲネサレト(花の海)」と呼ばれていた。この土地の
人々は黒髪・黒目でオリーブ色の肌をしていた。
マグダラのマリアは一般的には高級娼婦だと言われている。
高級娼婦は富裕であり、東方の絹を身にまとい、髪を最高級の
ヘンナ油で染め、エジプトの宝石を身に着け、召使いを抱え、
インドの香辛料を使った料理を食べていた。しかしながら
ユダヤ社会では罪人であり、社会的・宗教的差別を受けていた。
マグダラのマリアは、イエスの母マリアと議員ニコデモ、
アリマタヤのヨセフなど、少数のグループと一緒になってイエスを
十字架から下した。2人の女性はかわるがわるイエスの遺体を
抱いた。社会的に落?したにもかかわらず、最期までイエスを
愛した女だった。そして彼らはイエスの遺体に4.5㎏の没薬
(ミルラ)と香料を塗ってから、遺体を亜麻布で包んだ。この
亜麻布がキリストの聖骸布である。
それからヨセフが墓用に買ってあった岩に掘った横穴に遺体を納め、
入口を石で塞いだ。それから36時間、イエスの死を悼む人たちは
ヨセフの家にいた。マルコの福音書によると、マグダラのマリアは
日曜の明け方、最初にイエスの復活を目撃した。普通に解釈すれば、
イエスが最も信頼していたキリスト教の最重要人物である。それを
裏付ける資料は、ナグ・ハマディ写本の一部、グノーシス派の
「ピリポの福音書」である。
「マグダラのマリアはイエスに最も近く付き添う者であり、神
なる智慧の象徴である。
同じくグノーシス派の「マグダラのマリアの福音書」には、
復活したイエスがマリアだけに宗教的最奥義を伝えたとある。
「私たちは至高神と同じ分霊を持つ」と。
マグダラのマリアはガリアの地に移り住、南フランス・マルセイユ
近郊のサン・マクシマンに埋葬されたという。5世紀以降マルセイユ
のカッシアヌ派の修道士たちが彼女の墓を守った。彼女は黒マリアと
してフランスを中心に秘かに信仰され、8~12世紀にかけて
125のマドレーヌ(マグダラ)寺院が建ち、うち50が黒マリアの
聖堂を持っている。