私は以前「アストラルの森/聖人間工房」なる
小説を書いた。概要は「公務員の大町遼介は、ふとした
きっかけで聖書を読み始める。ある夜エブラと名乗る
意識体が遼介の無意識を乗っ取り、自動書記でメッセージ
を届ける。それによって崇高なる使命に目覚め、世界
の革命を志すのだが、これは人間心理の大いなる罠
だった。いつの間にか純粋な精神は個人的な暴力に
すり替わり、遼介は次々に殺人を犯してゆく。人間心理
の本質に迫るアストラルシリーズ」というものである。
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執筆の動機は、実際に私のもとに自動書記を行うチャネラー
が現れ、世界を救済しようではないかという誘いをうけた
体験に基づく。ゆえにエブラの太陽王など内容の4割
ほどは事実である。インスピレーション執筆の項で書いた
ように、自動書記はそのとき導いている霊のレベル以上に
高まることはないのだが、問題なのは霊のレベルを審神
(さにわ)することにある。
彼が訪れた当初、見せられた詩は、ロマンティックの度合い
が高いものの波動は純粋で透明感があった。だが十字架を
見て涙を流したり、大天使ミカエルの幻視を見始めた頃
から様子が違ってきた。「私は偉い」という自我の増徴が
現れ、世界支配という世界にシフトしていった。私はその
霊と大喧嘩して彼と決別するに至る。
後に私は20世紀の神秘思想家ルドルフ・シュタイナーの
解説を得て、その時の霊がルシファーであると知る。
シュタイナーは人類の進化に干渉する悪魔的存在として、
人間を幻想の中に引きずり込み、自尊心を増大させる
ルシファーと、人間を物質の中に閉じ込め、破壊衝動を
植え付けるアーリマンの2種類をあげている。いずれも
人間の弱点である。プライドは高いが自らの主体を
持たない未熟な自我の者ほど、ルシファーの餌になり
やすい。彼らは聖者の夢を見せられる。無論カルト集団
の教祖と信者、ストーカーなどもルシフェル的と言える。
一方唯物主義を標榜する共産主義教育を土壌とする国民
は、アーリマンの餌となりやすい。環境汚染が深刻な
中国からは、アーリマンの高笑いが聞こえてくる。物質的
意識状態に縛られているので、レジャーとグルメ、美容
整形やモノを消費する為だけに生きている人々がその
温床となる。
「しょせん人間どもなど我らの奴隷よ」という高笑いが
聞こえてくる。