伊勢神宮は第10代崇神天皇の6年、大和国に疫病が
蔓延したので、禍を鎮めるために、それまで宮中に
祀っていた天照大神のご神体「御霊代みたましろ」を、
豊鍬入姫命という斎宮(巫女)に託して、大和国笠縫邑
(かさぬいむら)に移したと日本書紀にある。笠縫寺
は、秦氏の氏寺である秦庄の秦楽寺境内にある。ここが
伊勢神宮の原点というわけだ。
古事記・日本書紀が編纂された時、女神になった
天照大神だが、それ以前は「天照国火明櫛甕玉饒速日命
(あまてるくにてるひこほのあかりくしみかたま
にぎはやひのみこと)」という名の男神だった。
饒速日命(にぎはやひのみこと)は、秦氏渡来以前から
大和を支配していた有力豪族・物部氏の祖神である。
別名アマテルオオカミ。瀬織津姫と一対の龍神である。
天照大神で最も有名な神話は、言うまでもなく「岩戸隠れ」
の逸話である。スサノオの暴虐にあきれ果てたアマテラスは、
岩戸に「隠れて」しまい、世界が暗黒に閉ざされる。女神
アメノウズメが岩戸の前の神々の前で裸踊りを乱舞し、
アマテラスが何事かと少し岩戸を開けた時、手力雄神が
岩戸を開いてアマテラスを引きずり出すという粗筋である。
日本では天皇陛下がお亡くなりになると、「お隠れになる」
と表現する。つまりアマテラスも一度死んだのではないかと
考えられる。原始キリスト教徒の秦氏が、男神アマテラスが
死して後復活する話となると、示す人物は1人しかいない。
イエス・キリストである。復活を見届ける性的女神アメノ
ウズメは、さしずめマグダラのマリアだろう。
このイメージを裏付けるように、「ホツマツタエ(秀真伝)」
という成立年代不詳の神話の主神・アマテルには、12柱
の妻がいたと記されている。だが記紀の編纂を命じた
藤原不比等は、物部氏の祖神ニギハヤヒを徹底的に封じた。
女神になったアマテラスにとって、絶対にいてはならない
女神がいる。ニギハヤヒと一対の女神・瀬織津姫である。
ローマ・カトリックでマグダラのマリアを封印したように。